回転脱進機(かいてんだっしんきrevolving escapementレボルビング・エスケープメント)
トゥールヴィヨン機構に使われる脱進機。装着されているキャリッジと共に回転運動を行う。生産コストが高いことと、高度な技術が必要なので、一部高級品にのみ使用されている。ブランパン、オーデマ・ピゲが有名。

回路基盤(かいろきばん mother boardマザーボード)
プリント基盤とも呼ぶ。水晶(水晶振動子)、コンデンサー、IC、抵抗などの部品をプリント配線にするための基盤。なお基盤にこれらの部品を組み込んだ状態を、電子回路ブロックと呼ぶ。

カギ巻き(かぎまき Key windキーワインド)
カギを使ってゼンマイを巻き上げる方式の時計について使う言葉。

角穴車(かくあなぐるまratchet wheelラチェット・ホイール)
香箱の芯と一致している歯車で、リュウズを巻いて丸穴車を通じて伝わった回転力をゼンマイに伝える。逆転防止のため一定方向のみに回転するようになっている。軸に固定する穴が四角になっているところからこの名が付いている。

片振り(かたふり out of beatアウト・オブ・ビート)
テンプは左右平等に回るのが望ましい。しかし調整が悪いとどちらかに偏りが生じ、これを片振りの状態という。刻み音がチッチッという音でなくチーッチッチーッと片寄った音とがする。テスターの記録(プリント)では2本の刻線になる。

カナ(pinion ピニオン)
歯車の軸に固定された小さな歯車の総称。児歯車、またはピニオンとも呼ばれる。時間合わせ装置のほか、一対の噛み合い歯車の動力部分を担っている。

カビノチェ(Cabinotier)
スイスで飛躍的に時計産業が発達した18世紀において、一種独特の風格を持ちギルトを形成した時計師を指す。屋根裏(キャビネット)の仕事場で働いていたためこのように名付けられた。その中の一人、ジャン・マルク・バセロンが1755年、ジュネーブで仕事場を開いたのが、現在のバセロン・コンスタンチンの始まりである。

ガラス(glass グラス)
時計のガラスには主として良質の無機ガラスが用いられる。キズが付きにくく、光沢がよく、防湿性に優れているためだ。合成樹脂で作った風防ガラスも頑丈な特性を生かしてよく使われるが、防湿性、光沢の面など、無機ガラスに比べてはるかに劣る。ガラスはケースの形態に応じてさまざまなカットが施される。風防の項参照。

側(がわ case ケース)
ムーブメントを収納する腕時計、懐中時計の外側のケースのこと。ウランド(丸型)、レクタンギュラー(角型)、トノー(樽型)などが代表的なケースの形。ケースの項参照。

側開け(がわあけ case openerケース・オープナー)
ケースを開くのに用いる工具。焼き入れした小刀を先端に廃したコジ開け式、丸いゴム片をつけたネジブタ用のものなど、時計の形式によって使い分ける。ロレックスには特殊なオープナーが必要。

革バンド(かわばんど strapストラップ)
天然皮革や合成皮革を使って作ったバンド。小穴にツク棒を留めいれるのが普通だが中留を取り付けたものもある。革バンドの構造は見た目より複雑で、表面と裏面の革以外に内側に数種の芯を使っている。天然皮革では主にカーフ、ピッグ、ワニ、トカゲが主流だが、他にオーストリッチ(駝鳥)、コートバン(馬の尻皮)など年々多彩になっている。部品使いも多岐にわたり、布やゴム材料を用いたり、新型の尾錠を用いれば、時計本体と違い制約が少ないため、豊富なデザイン画可能となる。

ガンギ車(がんぎぐるま escape wheelエスケープ・ホイール)
テンプなどの長足機構に一定の衝撃を与える歯車で、輪列の一番最後に配列される。

機械彫(きかいぼり engine turnエンジン・ターン)
機械を使ってベゼルなどに施す連続的な模様のこと。

刻み(きざみ beatビート)
ガンギ車の歯とツメ石の噛み合わせ部分が接触して生じるカチカチという独特の刻み音。一般に「いい音している」というのはムーブメントの状態が正常であることを意味する。

キズ見(きずみeye glassアイグラス)
時計の作業など細かい作業をするときに使用するルーペ。2倍から各種類ある。

キャリバー(caliber)
ムーブメントを構成する各部品の配置を称する言葉。ガラス式キャリバー(も序盤がガラスに保護されていて、巻芯、二番車、四番車が直線上に配されている)、サボネット式キャリバー(文字板が二重の蓋で保護されていて、巻芯、二番車、四番車が直角線を描いて配置されている)、変形キャリバー(丸型ケース以外のムーブメントのキャリバー)の3種類に大別できる。Calという略称で表記されることが多い。また、ムーブメントのサイズ、あるいはムーブメントの製造工場での番号をさすこともある。

鏡面(きょうめんmirror finishミラー・フィニッシュ)
光が鏡のように正反射するように凹凸なく磨き込んだ仕上げ方法。

銀電池(ぎんでんち batteryバッテリー)
水晶時計用の銀電池には陽極作用物質に一価の酸化銀、陰極作用物質としてアマルガム化した亜鉛粉末、電解液に水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムが使われている。

金張り(きんばり gold filledゴールド・フィル)
金の薄板を非金属や銀に溶接するもので、純度基準が10カラット以上のものを指す。金無垢はもちろん、金張り圧延金と表記する場合には、製造元のマークを表記することが義務づけられている。

金メッキ(きんめっき gold plateゴールド・プレート)
電気または科学的プロセスで金または合金を被せたもので、純度基準に達しないものを指す。このようなケースにはマークを刻印する義務はない。

クォーツ時計(quartz watchクォーツ・ウオッチ)
水晶で作った水晶振動子を、時間調速のために使用している時計。当初日本では水晶発振式時計と呼ばれていた。また水晶時計、クリスタル(クリスタルは水晶という意味)時計、クォーツ・クリスタル時計とも呼ばれる。

グリニッチ標準時(Greenwich mean timeグリニッジ・メーン・タイム)
イギリス、フランス、ベルギーなどが採用するグリニッチ子午線を基準にした標準時。標準時とは、日時計に算出される時間の平均のこと。グリニッチ標準時の略号はGMT。ロレックスを初めとする各ブランドが、この略号をモデル名に冠した航空用時計を発表している。

クロノグラフ(chronograph)
時刻を表示する通常の機能に加えて、単数、複数の針を始動、停止、再始動、そしてリセットする機能を有する時間測定のための計器を備えた時計のことを指す。初期のクロノグラフはごく単純なしくみで、文字板自体が回転し、インクが付着した針が一定の場所にきたとき、簡単な操作で針を押し下げ文字板状に印をつけるというものであった。これは点印式と呼ばれるもので、1822年にパリのブリュッセが、そして同時期に天才時計師ブレゲガ文字板を固定させ針を動かす方式を考案している。今日の原理を備えたクロノグラフが誕生するのは1844年ころで、アドルフ・ニコルが中央秒針を始動、停止、リセットさせる時計を発表した。その後、中央秒針が経過した分を、専用の小さい文字板に表示し、ボタンを押すと秒針が、そして1分経過する毎に分記録計が動き始める時計が開発される。腕時計で最初のクロノグラフは、1915年にブライトリングが発表。17年にはバセロン・コンスタンチンも同じタイプのワンボタン、30分積算計付きのクロノグラフを出した。20年にはロンジンが1/5秒計測のクロノグラフを出している。30年代に入ると各メーカーが開発を競い、クロノグラフは防水性(37年にチュチマが開発)などの機能を加えて進化を遂げた。最近ではプッシュボタンが2つ付いたものがほとんどで、一方のボタンを押すと始動、停止、再始動を繰り返し、残りのボタンを押すとリセットできるようになって折り、経過時間の統計を一目で読み取ることができる。

クロノメーター(chronometer)
もっとも正確な特殊時計のことで、主に天文学者、船舶などで用いられる。特に船舶とは密接な関係にあり、船の位置、経度を測定するためには、太陽や北極星の位置が分かれば後はグリニッジ時刻を示す正確な時計さえあれば可能だからである。最初にクロノメーターを発明したのはイギリスのハリソンで、1761年に設立された海上経度測定委員の応募がきっかけであった。これらの船舶用クロノメーターは、「ボックス・クロノメーター」あるいは「マリンクロノメーター」と呼ばれている。近代のマリンクロノメーターの先駈けとなったのは、鉄道時計で高精度を誇ったアメリカのハミルトン社で、1942年に海上天文台との開発協力で海軍へ正式支給された。しかも1944年には1ヶ月で546個を製造する精密時計製造では驚異的な数字を残し、安くて、高精度、しかも大量生産が可能となった「ハミルトン・マリン・クロノメーター・モデル21」ハ、クロノメーターの常識を覆した。腕時計におけるクロノメーターの定義とは、1951年にスイス時計製造協会が定めた規格によると、異なる気温と姿勢の元で正確に動くように調整させ、公式時計証明を受けた高精度の時計とある。各国にクロノメーターの性能を試験する期間があり、この試験する期間があり、この試験にパスした時計には証明書を与え、またコンテストも各種行われている。スイスのジュネーブ天文台、ニューシャテルの天文台も有名である。100分の1ミリの誤差許すらされない部品加工・組み立て技術、完璧な設計と油の品質など、まさに時計メーカーにとって優劣を問われる試験といえる。

クロノメーター試験所(chronometric observatoryクロノメトリック・オブザベートリー)
クロノメーターの性能を試験する機関。この機関の試験をパスした時計だけにクロノメーターの証明書が与えられる。各国の天文台や海軍観測所などにこの機関が設けられている。クオーツが開発されて異議がうすらぎ、現在は解散してしまった。

ケース(case)
ムーブメントを入れる時計の本体。側ともいう。普通、上面がガラス、裏面が裏ぶた、12時、6時側にベルトを取り付ける足、3時側にリュウズがつく。材料は真鍮、ステンレス・スチール、シルバー、アルミニウム、プラスチックなど。高級品では金、プラチナ、チタンなど。特殊なものでは石,木などがある。製造方法は、プレス成型、切削によって型つくられ、目付けや研磨が施された後、メッキされるのが普通。メッキの前に、別に作った部品を蝋付けすることもある。プラスチックケースは射出形成で作られる。曲面がキャスト製法によることもある。

月差(げっさrate レート)
時計の1ヶ月の進みや後れを表す言葉。「月差~秒」のように使われる。ちなみに1日の誤差は日差、年間の誤差は年差という。各種時計の平均的日差、月差、年差は以下のとおり。機械式時計:日差10~20秒、月差10分、年差2時間。音叉時計:日差2秒、月差1分、年差12分。水晶時計:日差0.01~0.5秒、月差0.3~15秒、年差3.6~180秒。なお原子時計は3,000年間で約1秒しか誤差は出ない。

検証刻印(けんしょうこくいんhall markホールマーク)
イギリスの政府発行による金や銀の純度を鑑定する方法。貴金属の偽造に対処する策として行われている。この刻印がない貴金属の販売は不法というわけだ。ホールマ-クの項参照。

香箱(こうばこbarrelバレル)
ゼンマイが収められている箱で、これ自身が歯車の役をすることもある。バレルの項参照。

ゴールド(gold金)
装飾的にも、またさびたり変色したりしないので、腕時計には最適な素材といえる。純金は24金であるが、純金は柔らかすぎて時計には不向きだ。そこで銅、亜鉛、銀などの比較的硬い金属と合金にして使う。色味が異なり、レッド・ゴールド、ローズ・ゴールド、パープル・ゴールド、グリーン・ゴールドと呼ばれる。カラットは重量のことではなく金の含有する割合のことで、18K、14K、9Kと表示されているのは、それぞれ金の含有率が18/24,14/24,9/24で、残りがほかの金属となる。金製品には必ず国の承認が必要で許可を得たものはホールマークと呼ばれる刻印が付けられる。現在、最も純度の高い金を使った時計は、ウオルサムの990シリーズで、純金に1%のチタンを混ぜ、固さを確保している。

コンパス・ウオッチ(compasswatch)
方緯度測定装置。太陽と時刻から方位を測定することができ、回転ベゼルに方位記号と方位度が表示される。まずベゼルをまわしてSマークを12時のところにセットする。短針と12時との間のベゼルの上に細い棒を垂直に立てる。棒の影が時計の中心をと売るようにし、その状態で影が示したベゼルの方位を読めば方位がわかる。夜間は北極星方面にNマークをセットする。また単純にコンパスと時計を合体させたものもあり、磁力の強いコンパスを有するには、耐磁性の強いケースの開発が必要である。ポルシェデザイン、レビュートメン、ハンティングワールドなどが発売している。

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