時計用語 まみむめも

 

丸穴車(まるあなぐるまcrown wheelクラウン・ホイール)
リュウズについた車(きち車・つづみ車)と連動する歯車。ゼンマイ巻上げ機構の歯車のひとつ。伝え車の項参照。

巻き(まきwindingワインディング)
機械式時計のゼンマイを巻き上げること。自動巻き時計はその機構から、セルフ・ワインディング(self winding)と呼ばれる。

巻き止め機構(まきどめきこうstop workストップ・ワーク)
ゼンマイ巻上げと香の回転数を制御する装置。星車と巻き止めレバーからなる。バセロンのシンボル・マークはこれをデザインしたもの。

マスキング(masking)
塗料や目付けやメッキを部分的に入れたい時、入れない部分にテープや樹脂塗料を塗って隠し、後からはがすこと。

マルチ・パーパス(multi purpose)
多目的クロノグラフで、タキメーター。テレメーター、パルス・メーターなどが搭載される。

ミニッツ・カウンター(minute counter)
クロノグラフの分数表示をする指針のこと。秒針が1課移転すると、このミニッツカウンターがひとくぎりずつ分数を表示する。目安剣とも呼ばれる。1回転30分、45分、60分の3種類がある。

ミニッツ・レコーディング(minute recording)
分数表示付きのクロノグラフで、もっとも基本となるタイプ。1回転30分、45分、60分の3種類がある。3分、6分、9分の目盛りが長くなっているものがあるが、これは電話の通話時間を一目で読み取れるため。

ミリタリースペシフィケーション(military specification)
略してミル・スペックともいわれる。軍用品は各政府がその仕様、性能を細かく規定しているが、その規定のことを言う。ミリタリー・スぺシフィケーションのシステムがもっとも発達しているのはアメリカで、腕時計に関しても腕時計が最も使用されるようになった第一次世界大戦からすでに作成されていたようだ。現在、最も古い腕時計ミル・スぺックとして残っているものは1923年に陸軍が発行した「№。55-1 1923年7月24日」で、7石の腕時計について規定されている。アメリカ政府は同一のアイテムについてはスペック番号を変えず、修正、追補が行われた場合には番号の後にAから始まるアルファベットを付けている。現行品のスペックは1989年5月31日に発行されたMIL-W-46374Eで、オリジナルのMIL-W-46374が発行されてから6番目の改訂版だ。このスペックに基づく腕時計の特徴は、文字板に使用する蛍光塗料のトリチウムを、直接、文字板に塗布することを認めていない点だ。また、軍用時計には厳しい環境下での貯蔵要件も課せられる。華氏マイナス65度の環境でまったく故障せずに1年から2年の貯蔵に耐えなくてはならない。こうしたミル・スペックに基づいて作られた軍用時計は、裏ブタにミル・スペック番号や製造会社の製造番号などが刻印されている。

ムービング・ボディーズ(moving bodies)
ムーブメントの中の歯車、カナを総称する言葉。

ムーブメント(movement)
ケースや風防、文字板、針などの外装品を除いた時計の機械部分。リュウズは仮リュウズがついている。水晶時計のムーブメントはモジュール(module)と呼ぶこともある。ただしモジュールは、モーター・モジュールのように構成部分を指す場合にも使われることがあるので注意したい。

ムーブメント・メーカー(movement maker)
スイスの時計産業は伝統的に分業体制を取っているため、自社でムーブメントから完成品までを製造しているメーカーは、ごく一部に過ぎない。高級ブランドであっても、ムーブメントを専門的に作るムーブメント・メーカーからムーブメントを購入し、それに手を加えている。ゼニスやレマニアはムーブメントの製造と完成品の組み立てを行う例外的メーカーだ。現在、ムーブメント。メーカーとしての最大規模を誇るのはETA。また、複雑な機構をもつクロノグラフのムーブマントを製造できるメーカーはかぎられ、レマニア、バルジュー、ビーナスの3社が御三家と言われる。

メタルバンド(braceletブレスレット)
金属製バンド。金属の駒を組んだもの、金属線を編んだもの、バックル型のもの、金属板をピンに巻いて組んだもの、鎖型のものなど構造も多彩。材料は、汗に強く、硬いステンレス・スチールが主流だが、高級品では、金、ホワイト・ゴールド、プラチナもある。スポーツ用に軽くて硬いチタン、キャスト製法で駒を作る時やコストダウンを図る時には真鍮が使われる。

メッキ(platingプレーティング)
金属の錆止めと外観を変えるための施す表面処理。しかし、現在はプラスチックのような金属以外のものにもできる。メッキは、液中でする湿気式メッキと真空でする乾式メッキ(IP)がある。アルミニウムにはアルマタイトと呼ぶ陽極酸化を施す。時計によく使われるのは、湿式では、下地用に銅メッキ、ニッケル・メッキ、表面には金メッキ(金色)、銀メッキ(銀色)、クロム・メッキ(ステンレス色)、ロジウム・メッキ(グレー色)、パラジウム・メッキ(銀色)、黒クロム・メッキ(黒色)、黒ロジウム・メッキ(黒色)。乾式ではチタン化合物を使い、金、グレー、ブラウン、ブルー、グリーンなどの色が出せる。金メッキなど時計の価値に直接つながるメッキはマイクロン単位で管理され、メーカーやディーラーによって厳しくチェックされている。色づけ程度のごく薄メッキは常に、より高品質でより低いコストをめざし努力が続けられており、硬質メッキなどの新開発が盛んだ。

目付け仕上げ(めつけしあげfinishフィニッシュ)
金属部分の地模様。製造過程でついた小さな凹凸を直す意味でも必要なこと。腕時計が宝飾品に近づくほど、美しく繊細な仕上げが要求される。また、仕上げによって表面の色も目には異なって移るので、色と仕上げは一組でとらえる必要がある。

メモボックス(Memo Box)
時計史にアラーム機能を搭載した腕時計が登場するのは1912年のこと。その完成品と言えるのが、1940年にジャガー・ルクルト社が発表した「メモボックス」である。このモデルには2個のリュウズがついていて、上のリュウズがアラーム用。このリュウズを引き出す手回すと、三角形がついた円盤が左方向に回り、アラーム時刻がセットできる。アラームをセットした後は、リュウズを押し込んでもとの状態にしておくと、セットした時刻にアラームが鳴り出す。アラームはムーブメントに内蔵された振動版がセミのように小刻みに震えて音が出る仕組み。なお、下のリュウズは通常の時計用で、操作も非常に手軽。ユニークな技術開発を得意とする同社が生んだ傑作品と言えよう。その性能の高さから見ても、現在のアンティーク市場での安値は不思議なほどだ。

目安針(めやすばりauxiliary dialオーグジアリ・ダイアル)
クロノグラフのミニッツ・レコーダーやアワー・レコーダーなどの小さなダイアル部をこう呼ぶ。このダイアルに付けられた針を目安針と呼ぶ。最近ではインダイアルと言う言い方がもっぱら出あるが、こういう名称もまだまだ根強い。

文字板(もじいたdialダイアル)
時、分、秒など、ムーブメントの運動を指針や各種機能で表示する時計の‘顔”色、素材、内蔵する機能など、さまざまな要因から多種多様製を見せる。材料は普通、真鍮製だが、一部貴金属も使用されることがある。石や貝を使う時も真鍮の薄板から型抜きしたものを土台に、ムーブメントによって決められた足を付け、メッキ、塗装、印刷、研磨、かっと、部品付けなどの工程を書くデザインごとに組み合わせ仕上げる。時計の部品の中で最も手作業による工程が多いため、工芸的性格が強く、出来栄えは職人の腕にかかっている。外観の美しさも重要だが、機能上、足や板に歪みがあってはならない。アンティーク・ウオッチでは、その文字板が製作された当時のオリジナルか否かで価格に変動が出るほど。

文字板ブラシ(もじいたぶらしdial brushダイアル・ブラッシュ)
文字板上を掃除する刷毛のこと。傷つけないよう柔らかい材質でできている。

文字板リング(もじいたりんぐdial ringダイアル・リング)
文字板上に、通常は外周に取りつける部品。分目盛りを印刷したり、ピン時字を作ったりする。スポーツ・ウオッチに多用。見返し、またはインナーリングともいう。

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