時計豆知識 さしすせそ

 

ザビエル、フランシスコ(FraciscoXavierフランシスコ・ザビエル1506~52)
1551年、周防(山口県)の守護大名、大内義隆に置き時計「自鳴鏡」を献上したイエズス会の宣教師。これにより、日本に始めてキリスト教とともに機械時計が伝わる

サントス(Santos)
角型ケースに、白エナメル地と黒のローマ数字の文字板という組み合わせで知られるカルティエのスポーツウォッチ。カルティエが初めて手がけた腕時計としても有名。フランスで活躍したブラジル人の航空家サントス・デュモンのために、カルティエが製作、贈呈したことからこの名がつけられた。贈呈年は1904年。デュモン、サントスの項参照。

シーマスター(Seamaster)
オメガ社の発表するダイバーズウオッチの総称。素材や防水機能の幅は各タイプによって異なるが、ケースはどのタイプも三重密閉機構。同社の「スピードマスター」同様この「シーマスター」も数多くの歴史を持つ。1970年にはフランスの深海探査会社のコメックスが、海底探査時に使用。非公認ながらアメリカの特殊部隊が使用していたという記録も残る。

資格認定製品リスト(しかくにんていせいひんりすと qualificationproductslistクオリフィケーション・プロダクツ・リスト)
アメリカの国防省が軍事品の供給業者を決定する場合の基本となるリスト。ミリタリー・スペシフィケーションが発行あるいは更新されると、アメリカ商務省が発行する「コマース・ビジネス・デイリー」に広告が掲載される。興味がある製造企業は、ミリタリー・スペシヒィケーションを入手し、その用件にもとずいた製品を国防省にテスト用に提出する。腕時計の場合は20個が提出される。試験期間で行われるテストに合格すると、資格認定製品リストに掲載される。このリストに掲載されることは、国防省が行う契約企業決定のための競争入札に参加する資格を得たことを意味する。

時間(じかんtimeタイム、hourアワー)
物質の存在形式のひとつ。時間科学上における時間の概念は、時間速度の単位は地軸を中心として回転する地球の回転によって定められるというもの。

時間調整(じかんちょうせいtimeadjustタイム・アジャスト)
一般には温度や姿勢に対して機械を調整することをいう。調整済みの時計というのは、文字板が上・下、リュウズが上・下・左の5ポジション、そして温度は華氏42度、92度で試験が行われ、定められた誤差範囲内に合格したものを指す。

指針(ししんhandハンド)
時計の時間や数値を指し示す針のこと。時針、分針、秒針が最も基本的な指針の形態。

時針(じしんhourhandアワー・ハンド)
時間を指し示す時計の針のこと。

姿勢(しせいpositionポジション)
時計のさまざまな位置によって生じる誤差を調節する時に使う語。

姿勢差調整(しせいさちょうせいtiming in positionタイミング・イン・ポジション)
さまざまな位置設定によって時計の歩度を調整すること。たとえば、文字板を上にした状態、リュウズを下にした状態など。

七宝(しっぽうenamelエナメル)
エナメルには、シンナーなどの溶剤で溶かして文字板などの塗装に使用する塗料を示す場合(ソフト)と、炉に入れて光熱で焼く磁気質の皮膜(ハード)をいう場合がある。後者が七宝で、ポケット・ウオッチの文字板の装飾加工によく見られる。耐久性があり、光沢が美しい。本来、七宝とは仏教の法典にある金銀と5種類の宝石をいう。5種類の宝石は経典によって多少の違いがあるが瑠璃、玻璃、メノウ、サンゴ、シャコというのが一般的。

自動巻き腕時計(じどうまきうでどけいautomatic windingオートマチック・ワインディング)
手でゼンマイを巻く手間を省くだけでなく、ゼンマイの強さを一定に保つことで精度の向上を図る長所を有する。第一号を発明したのはジョン・ハーウッドで、1924年に特許を所得している。

自動巻き発電機(じどうまきはつでんきauto quartzオート・クォーツ)
回転錘の運動がコイルで電流を誘発し、コンデンサーに充電されたエネルギーが回路を稼動させる。調速は水晶振動子であるため、確実な精度を抽出できる。電池破棄による環境汚染が叫ばれているだけに、オート・クオーツに対する期待は高い。現時点では、セイコーが「spirit」シリーズを発売しているにとどまっている。

ジャイロマックス(gyromax)
歩度調整が迅速に行えるテンプ。8つのワシャーを回転させることで微妙な調整が行える。パテック・ヒィリップの特許。

写真判定装置(しゃしんはんていそうちphoto finishフォト・フィニッシュ)
スポーツ用の計時装置。フイルムにタイマーが写し込まれ、計時を行えるようにしたもので、シネカメラのコマ撮りとスリットカメラによる2種類がある。

ジャンピング・ダイアル(jumping dial)
1時間に1コマだけ瞬間的に動く文字板。分針が1周するエネルギーでゼンマイを巻き文字板を動かす。

10時8分42秒(10:08:42)
アナログ時計の広告やカタログの写真では、時計の針は10時8~9分のあたりを示している。これはメーカー名や商品名のロゴを隠さず、針が上向きになるために時計の表示が重ならないので時・分・秒の形がわかり、2針なのか秒針付きの3針なのかも確認できる最もバランスがよい針の位置として、各メーカー共通の見解だ。服部セイコーの場合、正確には「10時8分42秒」で、昭和3年に「10時8分」が、昭和12年に「42秒」が社内規定で定められている。なおデジタル・ウオッチは液晶で表示されていると「42」という数字が「シニ=死に」と読めてしまうので、「10時8分59秒」に、カレンダー付きの時計は7月から12月の「月曜日(MON)の「6日」に、さらに目覚し時計は「10時8分3秒」で、目覚まし針は「5時」、デジタルセットのアラーム設定は「6時55分」が慣例となっている。

ジュネーブ・シュール(Geneva seal)
ジュネーブ市の技術規格法24条に定められた検査に合格した時計。クロノメーターの360時間テストに比べ600時間とより厳しい条件が課せられる。

蒸着(じょうちゃく ion platingイオン・プレーティング)
乾式メッキで、真空の中で金属を加熱して蒸発させ、これを他の物質に接着して薄膜とする。これを真空蒸着という。ガラスの仮面に一部付着させるときは、付着させないところにマスキングして付着後はがす。

植字(しょくじtypesettingタイプ・セッティング)
文字板の時字やマークを別部品として植えること。真鍮をプレスによって抜き出し、上面をダイアカットあるいは研磨する。仮面の足を文字板の孔に指し、文字板裏から接着剤をつけて止める。高級品のパテック・フイリップ、バセロン・コンスタンチン、オーデマ・ピゲ、グランドセイコーなどには、金ムクを使用することもある。

ショック・プルーフ・ウオッチ(shock proof watch)
耐震時計の別称。

ショップ・ウオッチ(shop watch)
有名時計店の名前を冠した時計。機械はスイスのメーカー、デザインや販売は宝飾店が行う。ティファニー、カルティエなどが有名だが、日本にも天賞堂、和光がある。

シルク・スクリーン(silk screen)
文字板の印刷やマスキングをするときの方法。面積のある印刷には適し、点や線の印刷には向いていない。もともとは絹地を使って印刷したが、現在は化学繊維や金属繊維の織物で代用する。広い面積分はきれいに印刷できるが輪郭は折り目ができやすいのでタコ印刷を併用するなどの工夫が必要。

真(芯)(しんarborアーバー)
歯車やカナを装着する心棒のこと。ツメ石やテンプに用いられる。天芯の項参照。

真空時計(しんくうどけいvacumwatchバキューム・ウオッチ)
ケース内部の機械部分が真空になったもので、湿気による機械の腐食や酸化のおそれがなく、また空気抵抗による振動誤差が排除される。グリシン、ウオルサムの真空時計が有名。

真鍮(しんちょうbrassブラス)
銅と亜鉛の合金。亜鉛の量に対して銅の量を減らせば硬さが増す。黄銅ともいう。

振動子(しんどうしoscillatorオシレイター)
振動する物体のことを指し、振動体、発振子などとも呼ぶ。水晶や音叉、そして振り子も振動子である。

振動数(しんどうすうbeatビート)
1時間にテンプが触れる回数を指す。当然、振動数が増せば、増すほど精度は向上するが、摩擦による部品の消耗は激しくなり耐久性は劣る。商品化された機械式は最高1分間36,000回転で、60年代ころには振動数競争が盛んに行われ、セイコーの「ハイビート」は10振動を記録した。精度と耐久性のバランスを両立するには5~6振動あたりが適当といわれている。現在は5.5振動、19,800回転が多い。一方、クオーツ腕時計の水晶振動子は、1秒間に32,768回も振動するので、振動数は32,768ビートということになる。振動数の単位であるサイクルやヘルツを用いて32,768ヘルツとしてもよい。振動数を周波数として表記することもできる。

水銀電池(すいぎんでんちnercurycellマーキュリー・セル)
したがって、寿命が長く、長期保存がきく。電池式時計の開発に大きく貢献した。

スイープ・セコンド(sweepsecond)
時を刻みながら運針する秒針(ステップ運針)に対して、滑らかに動く(スイープ運針)秒針のこと。

水晶振動子(すいしょうしんどうしcrystaloscilatorクリスタル・オレイター)
水晶(石英)の振動子を調速用に使ったのが水晶時計。水晶振動子と一言で言ってもいろいろな種類があり、形状、振動の仕方なども異なってくる。水晶の結晶軸に対して何度でカットするかによって、振動数が決められる。

スクリュウ・バック(screwback)
スナップ方式と異なり、ねじ込み式で裏ブタと胴をはめ込む方式。

スクリュウ・ロック(screwlock)
ロレックスが特許を取得した、ねじ込み式リュウズのことをいう。チュウブまでしっかりとねじ込まれ高い防水性を確保する。ゼンマイを巻くときは、まずリュウズ回してはずすとチュウブのネジ山から外れ、コイルばねの力で上方に押し上げられる。その状態でリュウズと巻芯はキイでつながって、リュウズを回すとゼンマイが巻かれるようになっている。針合わせののときは、もう一段リュウズを引き出して針を所定の位置にあわせる。現在はロレックス以外の時計にも広く採用されている。

ステップ運針(steppingステッピング)
秒針(ない場合は分針)が等間隔に秒を刻んでいく運針。1秒ステップ運針は、秒針(分針)が1秒飛びに動いていくことを示す。

ステップ・モーター(stepping motorステッピングモーター)
アナログの水晶時計に使われるモーター。駆動コイル(長さ数10mの銅線が巻き付けてある)、ステーター(コイルの芯)、回転軸(ローター)が主な構成部品。電池、水晶(水晶振動子)ICと流れてきた電流は、このステップモーターにより機械的な力へと変えられ、針を動かす歯車へと伝達される。一般には、連続回転せずに、区切りをつけて回転するモーターをステップモーターという。

ステンレス・スチール(stainless steel)
現在、最も広く時計のケースに使用されている素材で、クロムとニッケルの合金鋼。細工するには向いていないが、素材自体の原価は比較的安い。非磁性で、錆びずに防水性に優れていることも広く普及している要素といえよう。クロム18、ニッケル8の割合の合金鋼の18.8ステンレスが一般的。

ストッパー(stopper)
時計を正確に合わせるために付加されている秒針停止装置のこと。

ストップ・ウオッチ(stop watch)
テンプに停止装置を装着した、秒針付きの時計の総称。現在では、ストップ・ウオッチか否かという境界線があいまいで、クロノグラフなどもストップウオッチと呼ばれることがある。しかし、厳密には、ストップウオッチとクロノグラフは、構造状の違いで区別されるべきものである。

スプリット・セコンド(split seconds割剣)
基本的にはクロノグラフなのだが、一般的にはクロノグラフと違うのは秒針が2本あり、このうち1本がスプリット・セコンド針と呼ばれるもので、もう一本の針の上に重なっている。クロノグラフ機構が働いている時に、プッシュ・ボタンを押すとスプリット針が停止し、もう一度押すとスプリット針は一気にもう一本の針に追いつき再度2本同時に動きつづける。スポーツ競技で非常に重宝し、1着と2着のタイム、中間タイム、区間タイムを測定することができる。

 

精度(せいどrateレイト)
時計の刻みの安定性をいう用語。日差+-1秒以内に調整された機械式時計を‘精度が高い時計”という。また誤差はあるが毎日5秒だけ進むか遅れるかで、それ以上の誤差が生じない場合は、‘精度が高いが幅がある”という言い方をする。

積算計(せきさんけいintegral timerインテグラル・タイマー)
断続する時間の合計を積算するタイマー。スポーツ競技などに使用される。普通のタイマーは始動、停止のみで、リセットは専用のボタンで行う。

セグメント(segment)
デジタルによる数字などの表示をする切片。たとえば角張った数字の8の字は7個の切片で構成されており、そのひとつひとつをセグメントと呼ぶ。この7つのセグメントで0から9まで、すべての数字を表すことができる。ちなみに7個のセグメント全体(数字の8)は1デジットと呼ばれる。

センター・セコンド(center second)
文字板の中心で回転する秒針。

センター・ミニッツ・レコーディング(center minute recording)
分の積算機能を持つクロノグラフだが、普通のようにインダイアルになっていないものを指す。外周の目盛りが1~60分刻みになっており、針でその積算された分を表示する。インダイアルより読み取りやすいのが特徴。

ゼンマイ(main springメインスプリング)
渦巻き状のバネで、リュウズの巻き上げによって時計の動力の中心となる主要部。

 

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