時計は車にオイル交換があるように定期メンテナンスが必要です。機械式時計は部品と部品の摩耗が生じる箇所の油が劣化、酸化するため約3~4年ほどで油切れになり、油切れでの使用はパーツの摩耗につながり、時計の寿命に大きく影響します。
機械式時計のオーバーホールの作業工程(ROLEXサブマリーナデイト)
1.状態確認
作業に入る前に時計の状態確認を行います。ガラス、ケース、バンド等の外装の傷を入念にチェックします。
2.ブレスレット外し
バネ棒を外してケースとブレスレットを分けます。
3.裏蓋開け
ROLEX専用のオープナーで裏蓋を開けます。
4.ムーブメント
裏蓋を開けるとムーブメントを見ることが出来ます。Cal.3135を搭載しています。
5.ムーブメントの取りだし
ムーブメントをケースから取り出したところです。
6.文字盤外し
専用の道具で針を外し文字盤を取ります。
7.ムーブメントの分解・洗浄
ケースから機械を取り出し、全て分解いたします。分解したパーツは、洗浄し綺麗な状態にします。 洗浄用バスケットに一つ一つ丁寧にパーツを収め、特殊な洗浄器で汚れを落とします。 3~4段階にわけて厳密に定められた時間内で専用の薬品を使用して洗浄を繰り返していきます。 このようにして、部品に付着した細かい汚れが綺麗に落ちます。
ヴェルヴォクリーア社製の超音波洗浄機ETC-Ⅴ
分解した内装部品の洗浄
特別に調合された薬品を使い汚れた古い油分など分解し超音波により洗い流します。
8.香箱の分解洗浄注油組み立て
香箱からぜんまいを取り出し他の部品とは別で洗浄します。
9.洗浄
ケース、ブレスは超音波洗浄にて、徹底的に汚れやサビを取り除きます。
10.ムーブメントの組み立て、注油
100にも及ぶ細かい部品をひとつひとつ、ていねいに組み上げていきます。組立には、経験を積んだ職人が1つ1つ丁寧に組み上げていきます。また注油の工程で大切な事は、多くも少なくもない厳密な量のオイルを注ぐことなのです。多ければ溢れてしまいますし、少なければ時計の寿命にも影響いたします。この量は各モデルごとに異なり、非常に繊細で神経を使う作業工程となっています。
11.歩度調整
WITSCHI(ウイッチ)社製 タイムグラファー WATCHEXPERTⅢを使い精度のチェックを行います。
数通りの姿勢でのチェックを繰り返し、遅れ進み、振り角、振動数などのタイミングを微調整していきます。
12.点検
ランニングテスト・巻き上げテスト
ケーシング後、サイクロモーションにセットしランニングテストと巻き上げのテストを実施します。(ランニングテストとは、時間が正確に刻まれているか確認するためのテストの事です。)
4〜5日ほど連続してテストを行います。このテストが終了すると、再度テスターにて歩度の調整を行います。
防水テスト
ウォータープルーフチェッカー(HAMRON社 乾式防水試験器)
防水テストでは、カプセル内にセットした時計を加圧し、生じた時計の歪みの変化を精密な精度で検出して防水性の合否判定を行います。
お預りの段階で外装(バンドやガラス/リューズ)のチェックと機能点検を行います。お見積りの段階で極力見極めますが、作業を進める中で必要な交換部品などが生じた場合には再度ご連絡をさせていただいております。オメガ、ロレックスなどのオーバーホールはウォッチリペアサービスへお任せください。