「100M」「WATER RESIST」などの防水表記がある中古時計を見ると、「防水時計なら水に濡れても大丈夫」と考える方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、中古時計では、防水表記だけを見て現在の防水性能を判断することはできません。
腕時計の防水性能は、パッキンの劣化やケース・リューズ周辺の状態などによって変化します。新品時に一定の防水性能を備えていた時計でも、現在その性能が維持されているとは限りません。
この記事では、中古時計の防水表記をどう考えればよいのか、購入時や水辺で使用する前に何を確認すればよいのかを、時計修理店の立場から解説します。

風防の内側に曇りが出た状態(イメージ)
中古時計は、防水表記があれば水に濡らしても大丈夫?
防水表記は、その時計の仕様を知るうえで重要な情報です。
ただし、中古時計の場合は、表記されている防水性能と、現在その時計が維持している防水性能を分けて考える必要があります。
時計は使用年数が長くなるにつれて、内部のパッキンをはじめとした部品の状態が変化します。また、ケースやリューズ周辺の摩耗・腐食・変形なども、防水性に影響する場合があります。
そのため、「100Mと書いてあるから、今も100M防水として使える」と表記だけで判断するのはおすすめできません。
なぜ中古時計では防水性能が変わるのか
腕時計は、ケースのさまざまな箇所から水が入り込まないように設計されています。
その中でも重要な役割を持つのが、裏蓋やリューズ、ガラス周辺などに使用されるパッキンです。

ケース外周の黒いリングがパッキンです
パッキンは水の侵入を防ぐための部品ですが、永久に同じ状態を保てるものではありません。時間の経過によって硬化や劣化が進めば、密閉性に影響することがあります。
また、防水性能に関係するのはパッキンだけではありません。
ケースやリューズ周辺の摩耗、傷、腐食、変形など、時計本体の状態によっても防水性が変わる場合があります。
中古時計では、それまでどのように使用され、どのような修理やメンテナンスを受けてきたか分からない個体もあります。
つまり、時計が正常に動いていることと、防水性能が十分に維持されていることは別の問題です。
これはヴィンテージウォッチだけに限った話ではありません。比較的新しい時計であっても、使用状況や時計の状態によって防水性能が変化している可能性があります。
「100M防水」と書いてあれば、100M防水ではないの?
時計に記載されている「100M」などの表示そのものが間違っているわけではありません。
問題は、その表示だけでは、中古時計の現在の状態までは分からないということです。

文字盤に「100M」と表示された時計
例えば、新品時には100Mの防水仕様を備えていた時計でも、その後の使用や経年によってパッキンなどの状態が変化している可能性があります。
中古時計を見るときは、
「この時計は何M防水として作られたのか」
だけでなく、
「現在、その防水性能がどの程度維持されているのか」
という視点が必要です。
なお、「30M・50M・100Mでは何が違うのか」「どこまで水に濡らしてよいのか」といった防水表示そのものの見方については、以下の記事で詳しく解説しています。
50m防水なら海で使える?防水時計の正しい見方を修理店が解説
夏場に「時計の中が曇った」という相談もあります
当店でも夏場になると、「時計の風防の内側が曇ってしまった」というご相談をいただくことがあります。
防水時計であっても、時計内部に湿気や水分が入り込んでいると、外気との温度差などによって風防の内側に曇りが現れる場合があります。
特に、ガラスを拭いても取れない内側の曇りが見られる場合は、時計内部に湿気や水分が入っている可能性があります。
必ずしも画像や症状だけで原因を断定することはできませんが、内部の曇りが続く場合は、そのまま使用を続けず点検をおすすめします。
こうしたご相談は、古いヴィンテージウォッチだけに限りません。
時計の年式だけで「防水性がある・ない」を判断するのではなく、現在の時計の状態を見ることが重要です。
水辺で使う予定があるなら、事前に防水検査を
当店では、海やマリンスポーツなどで時計を使用する予定のある方が、シーズン前に防水検査のため来店されることもあります。

水辺で使う前に防水状態を確認
防水検査というと、「水が入ってしまった後に行う検査」というイメージを持つかもしれません。
しかし実際には、水辺で使用する前に現在の防水状態を確認するための点検として利用することもできます。
特に、
- 海やプールで使用する予定がある
- マリンスポーツで着用したい
- 中古で購入してから防水検査をしたことがない
- 長期間、防水に関する点検を受けていない
といった場合は、使用前に現在の状態を確認しておくと安心です。
防水表記だけを頼りにするのではなく、これからどのような環境で使うのかも含めて判断することが大切です。
中古時計を購入するとき、防水について何を確認する?
中古時計を選ぶ際には、防水表記を見るだけでなく、その時計について販売店がどこまで確認しているかも見ておきたいポイントです。

表記だけでなく現在の状態も確認
例えば、次のような情報を確認してみてください。
- 現在の防水性について説明があるか
- 防水検査を実施しているか
- 防水に関する保証や注意事項が記載されているか
- 水濡れを避けるよう案内されている時計ではないか
特にヴィンテージウォッチや年数の経過した時計では、製造時の防水仕様よりも、現在の個体状態をどう評価しているかが重要になります。
商品説明だけでは分からない場合は、購入前に販売店へ確認するのも一つの方法です。
防水状態が分からない中古時計はどう使えばいい?
現在の防水状態が確認できない時計については、防水表記だけを根拠に積極的に水へ濡らすことは避けた方がよいでしょう。
特に海、プール、水仕事など、水との接触が想定される環境で使用したい場合は注意が必要です。
もちろん、「中古時計だから水に濡らしてはいけない」という意味ではありません。
大切なのは、
表記だけで判断するのではなく、その時計の現在の状態に合わせて使用することです。
水辺で使用する予定があり、防水状態が分からない場合は、事前に防水検査を受けるという選択肢もあります。
時計修理店では防水性をどう確認する?
時計の防水性能は、外観を見ただけでは判断できない場合があります。
時計修理店では、防水試験機を使用して時計の防水状態を確認する方法があります。

当店で使用している防水試験機
実際の検査では、時計の構造や想定される防水性能などに合わせて確認を行います。
ただし、すべての時計で同じ条件の検査ができるわけではありません。時計の状態や構造、年式などによっては検査を行わない場合や、防水性能を保証できない場合もあります。
特に古い時計では個体差が大きいため、現物を確認したうえで判断することが重要です。
まとめ|中古時計の防水は「今の状態」を確認する
中古時計に「50M」「100M」「WATER RESIST」などの表記があっても、それだけで現在の防水性能まで判断することはできません。
防水性能は、パッキンやケース、リューズなどの状態によって変化します。
中古時計を購入するときや、水辺で使用するときは、
- 防水表記だけで判断しない
- 現在の防水状態について確認する
- 水辺で積極的に使用する場合は必要に応じて防水検査を行う
という考え方が大切です。
中古時計の防水は、表記だけでなく「今の状態」を確認する。
防水性について気になる点がある場合は、時計の状態や使用予定の環境も含めて時計修理店へ相談してください。



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